前回の(その14)では、友達と旅行に行く時に、行き先が自分の希望と異なったので、次回には自分の希望がかなえられるように、自分の希望地の良いところや旅費の安さを説明して説得してはどうか、というお話しをしました。
しかし、相手の人たちに、自分の希望を受け入れさせるためには、それだけでは充分とはいえません。人は、相手と話しをする場合には、理づめだけではなくて、感情が入ってくるからです。じつは、実際問題としては、この感情のほうが、大きな影響を持つ場合が多いと言えるでしょう。そのことは、皆さまも日常、よく経験をしておられることと思います。
たとえば、今のこの問題であれば、かりに、『今までは、何回も自分の希望を入れてもらえなかったので、もういい加減に、今回くらいは希望を聞いてくれてもいいでしょう!!』、というような言い方で説得しても、なかなか、同意は得られないでしょう。人はまず、感情的に判断してしまいますので、『なんだあんた、そんな風に高飛車に物を言わなくてもいいでしょう!!』、とけんか腰になってしまうことが想像されます。
その代わりに、『私の希望もたまには入れてくれてもいいと思うんだけどねえ。私が希望する観光地には、有名な施設や、美味しい食べ物がたくさんあるしね。その上に、旅費も安いんですよ。』、というような感じで話しをすれば、説得力がありますよね。
このように、相手の感情を害しないように、相手を説得するような手法は、『アサーション』という名前で知られています。アサーションとは、相手に主張する、断言する、という意味ですが、この場合には、相手の感情を害しないように主張する、という意味が加わります。そういう会話の仕方を練習するのは、『アサーショントレーニング』と言われています。慣れてきますと、会話がスムーズにいきやすくなりますので、皆さまも試してみて下さい。