認知行動療法について(その51)

前回の(その50)では、認知行動療法の『7つのコラム』のうちの、第2のステップまでいきました。今回からは、いよいよ、認知行動療法の核心部分である、第3ステップである『自動思考』について考えていきましょう。ワークに入る前に、この『自動思考』という考え方について、ご説明をしておきましょう。
認知行動療法は、アメリカのアーロン・ベックという精神科医によって、うつ病の治療法として創始されました。ベックは、うつ病の患者さんの治療をしているうちに、患者さんに共通している、ある心理的なことに気付きました。それは例えば、ある患者さんが、『自分がうつ病になった原因は、会社で上司にしかられて、つらくあたられたからです』、と言ったとします。この場合に、患者さんは、上司にしかられて、つらくあたられたこと、そのことそのものが、自分のうつ病の原因だと考えています。
しかし、ベックは別のとらえ方をしました。患者さんが上司にしかられて、つらくあたられたこと、そのことそのものが原因ではなくて、『しかられて、つらくあたられたことを、患者さんが自分の気持ちの中で、どのように受け取ったか ? 』によって、病気になったり、ならなかったりするのではないか、と考えたわけです。そこで、『患者さんが上司にしかられて、つらくあたられた時に、患者さんが自分の気持ちの中でどう考えたか ? つらくあたられたことを、どのように受け止めたか ? 』がこの患者さんを病気にしてしまうか、病気にはしないで済むか、と考えたわけです。
普通に考えますと、しかられて、つらくあたられたら、この上司は私のことを嫌いで、憎んでいるからしかったり、つらくあたるんだろう、と考えます。一般的にはそれが正しいでしょう。しかしながら、本当にそうでしょうか ? もっと、他の可能性があるのではないか、と考えてみます。このような取り組み方を、『自動思考を探す、見つける』、と言います。
この場合ですと、『この上司は私のことが嫌いなんだ!!』、と自分で思ってしまうことが、この人の『自動思考』ということになります。
ですが、もっと他の考え方がないのでしょうか ? たぶん、他の気持ちがこの時に浮かんでいたのではないでしょうか ? というふうに考えを巡らせていくのが、第3ステップの『自動思考』のやり方です。少し難しいので、次回からは、さらに詳しくこのことを考えいきましょう。

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神戸北ストレス科学研究所

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