認知行動療法について(その49)

前回の(その48)では、睡眠を認知行動療法的に考えるには、どのような捉え方があるかを考えてみました。今回からは、本来の認知行動療法について考えていきましょう。認知行動療法は、もともとうつ病の治療法として開発されました。アメリカの精神科医であった、アーロン・ベツクが、うつ病にかかった人の原因をくわしく調べたところ、うつ病を発症する人は、自分におきた物事を、自分の負担になるように解釈する傾向があることに気付きました。つまり、起きた物事そのものに原因があるのではなくて、その物事を、自分がどのように受け止めたかが重要だと考えたのです。
たとえばの例で考えましょう。かりに、ある人が会社で、自分がした仕事に対して、上司にすごく叱られて、それがもとで落ち込んで、うつ状態になったと仮定してみましょう。この場合には、叱られた人は、叱った上司に対して、たぶん、『あの上司は自分のことが嫌いで、にくく思っているから、あんなふうにきつく叱ったに違いない』、と考えます。このような場合には、認知行動療法では、そんな受け取り方の考え方が、本当に正確で正しいかどうかを、自分で検証します。
そこで、まず、『今回起きた出来事を、最初から詳しく分析する』ことから始めます。事の始まりは、自分がした仕事が上司の満足を得られなかったのですが、本当に自分の仕事が良くなかったのか、または、他の原因で上司が叱ったのかを自分で考えます。
本当に自分の仕事が良くなくて、不充分なままで提出してしまったか、どこか大きなミスをしていたかなどで、上司が叱ったのであれば、その仕事上の間違いを修正していくことが望まれます。間違いを見つけるには、自分で再度チェックをするか、同僚や周りの人に助けてもらうのも一つの方法でしょう。もしも相談する人がなければ、単刀直入にその上司に、『どこが良くなかったのか、教えてもらえませんか ? 』、というように聞いてみるのも一つの方法でしょう。とにかく、叱られた原因を自分なりに分析してみる、という取り組み方が求められます。
このようにして、認知行動療法では、自分で考えていくという取り組みの姿勢が必要です。逆に言いますと、そういう取り組みができない人には、この認知行動療法というやり方は合わない、ということになります。その場合には、他の解決法を探すことになります。
それでは次回もこの例について考えていきましょう。

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神戸北ストレス科学研究所

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