睡眠障害(不眠症)について(その16)

前回の(その15)では、自律訓練法の、『腕に重さ』を感じる練習をしました。このように、自律訓練法では、『身体の重さ』という感覚を重要視します。ここでは、なぜ、重さの感覚を重視するかについて、考えてみましょう。
もともと、自律訓練法がドイツの精神科医であるシュルツ博士によって開発されたのは、いまでいう、心身症の治療のためでした。シュルツ博士が患者さんを治療している時に、脳をリラックスさせるために、『催眠法』を適用して、患者さんを深いリラックス状態に誘導していって、患者さんに、『今の状態は、どんな風に感じますか ? 』、と聞きますと、多くの患者さんが、『心理的にリラックスできて、身体、特に腕や脚が重たい感じがする。さらに、手や足が温かく感じる』、という感想を述べたのです。このような状態になれば、睡眠についてもいい効果を示します。
そこでシュルツ博士は、『脳がリラックスしていると、身体が温かく感じたり、重たく感じるのだ。ということは、身体を重たく感じたり、温かく感じたり、するように練習をすれば、脳がリラックスすることになって、ストレスが解消されて、病気に効果があるに違いない!!』、と結論づけたわけです。その後、いろいろと研究を重ねて、『自律訓練法』という名前で書籍を発行して、世にひろめました。それが、1932年でしたので、自律訓練法は、1932年に開発された、と言われています。
かたや、日本には、だいたい、1950年代に導入されました。2つのルートがあり、一つは、医学的な研究者が導入しました。もう一つのルートは、心理学者のルートでした。ですので、日本でも、医学的な面からも適用が進められて、今では、病院でも自律訓練法を受けることができます。一部の病院では、保険適用で治療に使っているところもありますが、その数は多くはありません。
私が経験したあるうつ病の患者さんは、数年来『睡眠薬』を飲んでいた患者さんでしたが、ある日の寝る前に、自律訓練法を実践したら、クスリを飲む間もなく眠ってしまい、その日を境にして、長年の睡眠薬が要らなくなった、という患者さんがおられました。これは、めったにはない症例ですが・・・・。
それでは、次回は、次のステップに進んでいきましょう。

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神戸北ストレス科学研究所

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