前回の(その8)では、眠りに必要な脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)である、『メラトニン』の必要性について考えました。メラトニンは、前回に書きましたが、目から入る光の明るさ(照度)によって分泌が刺激されます。ですので、人が眠りに必要な時間に分泌されることが重要です。だいたい、夜の10時~12時くらいに眠りたい場合には、その14~5時間前の、朝の7時~9時に光の刺激を受けておけばいいわけです。
睡眠障害を克服しようと思えば、まずは、生活習慣を見直さなければなりません。
しかし、光の刺激を受けていても、メラトニンが体内でうまく生成されないことには、メラトニンが分泌されません。では、どうしたらメラトニンが体内でうまく作られるのでしょうか ?
それには、メラトニンの作られ方を知る必要があります。メラトニンは、その前駆物質である『セロトニン』から作られます。ですので、まずは、セロトニンをつくらなければなりません。そのセロトニンは、『ドリプトファン』という、『必須アミノ酸』から作られることが知られています。
ということは、睡眠障害を治すためには、必須アミノ酸を豊富に含む食事をする必要があります。睡眠障害でお医者さんに診ていただくと、睡眠薬については詳しく説明がありますが、このような生活習慣については指導がありませんので、自分で考えることがとても重要です。
アミノ酸は、タンパク質から作られますので、そのためには、良質のタンパク質を含む食材が役に立ちます。たとえば、お肉類、お魚類、大豆製品、乳製品、穀類、卵、などです。もうお分かりの通り、普通に知られているタンパク食品です。
ということは、日ごろの食生活に充分に気を付ければ、眠りに必要な『メラトニン』は体内でうまく生成されることになります。
では次回は、睡眠障害に関係している、他の脳内神経伝達物質(脳内ホルモン)についてもう少し考えてみましょう。