前回の(その40)では、日ごろでは経験しないような大きなストレス、いわゆるグリーフ(悲嘆、精神的な苦痛)の状態になった時には、なるべく早く、その悲しみを処理しておくことが重要だということをお話し致しました。そして、人間は、ストレスに対応する能力がありますので、ストレスを受けた直後や、しばらくの間は、その影響に気付きにくいのです。問題は、この気づきにくいうちに、適切にグリーフを処理できるか、出来ないかで、その後の経過が大きく変わってしまうことです。
グリーフの影響の出方は、3種類が考えられます。【その1】は、精神的な面に出てくる場合。【その2】は、身体の症状としてでてくる場合。【その3】は、精神的な面と、身体の症状と、両方に出てくる場合です。これらのうちでは、【1】の精神的な症状の場合には、たいがいの場合には、『ああ、あの時のストレスが原因ではなかろうか ? 』、と推測することができますが、問題は、【2】の身体に症状が出た場合です。身体に出た症状の原因がストレスにあるにも関わらず、身体そのものにだけ原因があるとして治療を受けてしまうことが多いのです。
たとえば、『ガン(癌)』もそのうちの一つでしょう。ふつう、癌の原因は生活習慣(食べ物や周囲の環境等)とか遺伝的な要素が取り上げられますが、ストレスもガンと大きな関係があることはわかっていますので、ストレスの要因も考慮に入れなくてはなりません。【その3】の場合には、もっと複雑です。つまり、精神的なものと、身体的な原因とを、両方を別々に分けて考えてしまうことがよくあります。このような症状の出方は、皆さまもよくご存知のように、いわゆる、『心身症』になりますので、近年では、『心療内科』で診てもらうことが勧められています。
それでは次回からは、これ等の【1】と、【2】と、【3】とについて詳しくみてまいりましょう。







