ストレスについて(40)

前回の(その39)では、『グリーフケア』について考えてみました。グリーフケアは、普段では考えられないような大きな悲しみや、苦痛、悲嘆といった、とても大きな精神的な衝撃を伴う出来事に出会ってしまった方々を援助する支援のことです。最近では、大きな災害の時や、内戦や国際的な紛争の場でもよくみられます。または、過去のベトナム戦争や中東戦争に参戦した兵士の方々の心のケアなどがあります。
前回お話しをしたのは、お医者さんがグリーフケアをする場合をご紹介しましたが、この支援はお医者さんだけではなくて、キリスト教の牧師さんや神父さんがすることもあります。また最近では、心理カウンセラーがそういう教育を受けて実践する場合も増えています。心理カウンセラーがする場合には、『EMDR』や『TFT』というような手法が使われますみ。
『EMDR』は、『Eye Movement Desensitization and Reprocessing』の略で、訓練されたセラピストの指導を受けながら治療を進めます。この方法は、心理学的にも充分に研究されていますので効果が期待できます。
『TFT』は、『Thought Field Therapy(思考場療法)』の略で、東洋医学的な経絡(ツボの流れ)の理論に基づいて治療をします。この方法は、効果は検証されていますが、日本ではまだマイナーな方法ですので、指導をしてくれるセラピールームも多くはありません。
いずれにしましても、大きなグリーフを経験しますと、その影響が身体と心に出てきますので、適切に対処しておくことが薦められます。しかし、人は、もともと、大きな悲しみに耐えるだけの力を持っていますので、出来事が起きたすぐの時期には、自分ではそのストレスを感じにくい状態になっています。そのために、ストレスに対しても対処が遅れて、後になってから症状として出てくることが多いのです。そうしますと、ストレスを受けた時期から時間が経ってしまいますので、治療が難しくなる場合が多いのです。
前回の(その39)でご紹介したお母さんは、早い時期にお医者さんに相談しましたので、おそらくは大きな問題にならせずに済んだことでしょう。
次回はもう少し、この問題を考えていきましょう。

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神戸北ストレス科学研究所

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