前回の(その52)では、ある人が会社で仕事のことでこっぴどく叱られた、という想定で話しを進めています。このような、通常よりも違ったことが起こった場合には、その状況を受け取る自分の気持ち=感情がわいてきます。そしてその感情の内容は、自分の頭で考えていることよりも違った何かが働いていることが多いのです。このようなことを、潜在意識ということもありますが、この場合には、自分で考えたことが分かる方法がありますので、それを知っておくということがとても役にたちます。
さて、話しを前回の内容に戻しますと、会社の上司が何か機嫌が悪いまま会社に出て来て、あなたの仕事の内容に対してこっぴどく叱った、という状況です。あなたは、この上司とは付き合いも長く、この上司のことはよく知っていますので、普段と違うことを言われても、ちゃんと状況を理解して、『あっ、今日の上司はいつもと違うな。何かあったんだな』、と判断できますので、この場合には、時間が経てば状況は落ち着いて解決してくれるでしょう。
では、他の条件でも考えてみましょう。次の場合は、上司がもともと怒りっぽい人で、今日もその調子であなたをこっぴどく叱ったという時です。このような場合には、いつものように怒っているわけですので、『また、いつものように腹を立てているんだな』、と受け取ればいいわけです。しかし、怒られたあなたは、とても落ち込みますよね。このような場合には、自分の受け取り方を変えて(修正して)、状況を乗り越える必要があります。怒られた時に気分が落ち込む原因は、『1』自分が能力がないために、上司に叱られたか、『2』上司の人柄が、上司としての資質に欠けている、かのどちらかです。ですが、この上司は日ごろから部下を怒りまくっているような人ですから、『2』であると判断しても間違いがないでしょう。
ということになりますと、あなたがするべきことは、『こんなひどい上司には、どんなことを言われても、落ち込んだりしないようにしていこう !! 』、と決断することです。そして次にするべきことは、『こんなひどい上司は、無視してしまおう !! 』、という考え方を、あなたの脳の中に、しっかりと植え付けることです。この作業は、認知行動療法を成功させるためには、どうしても必要なことになります。次回では、このことをもっと考えていきましょう。







