前回の(その17)では、腕の重感と、脚の重感を感じる練習をしました。自律訓練法では、このように、腕と脚とに、重たい感じを感じる練習をするのですが、その理由は、以前書きましたが、私たちは、心理的、精神的にリラックスすると、腕や脚に重たい感じを感じる、という身体現象から発想されたものです。ということは、腕や脚に重たい感じを感じていれば、それだけ、精神的にも心理的にもリラックスしている、という証拠になるからです。
重たい感じを感じたつぎには、『温かい感じを感じる練習』に進みます。この温かい感じを感じることも、重たい感じを感じることと同じように、私たちの精神的なリラックス度を表しています。温かい感じを感じる練習も、重たい感じの練習と同じように進めていきます。
まず、利き腕に、(この場合右腕とします)何となく意識を向けて、『右腕が重たくて温かい、右腕が重たくて温かい』、と数回繰り返します。意識の向け方は、重たい練習の時と同じ要領で、じっーーと意識を右腕に集中するのではなくて、ただ何となく、右腕のあたりに注意を向けて、『右腕が重たくて温かい、右腕か重たくて温かい』、と数回繰り返します。
右腕に温かい感じを感じるようになったら、つぎは、『右腕と左腕が重たくて温かい、右腕と左腕が重たくて温かい』、と繰り返します。ここまでで、腕と脚の、重たい感じと、温かい感じの練習が終わりました。
通常、自律訓練法では、重たい感じと温かい感じが感じられるようになれば、精神的なリラックス効果は達成された、と考えられています。このような状態になれれば、睡眠状態が良くなることが分かっています。
ですので、夜寝る前に、この練習をすると、睡眠障害の改善に効果が期待できます。それでは、次回は、睡眠障害を改善するための、別の方法について考えてみましょう。