前回の(その39)では、睡眠障害で、毎日毎日、眠れない夜が続くと、また今夜も眠れないのではないか、と心配になって、その心配がさらに、睡眠障害を引き起こすという、負のスパイラルについてお話しをしました。
このような場合には、認知行動療法が効果があります。つまり、この『今夜も眠れないのではないか ? 』、という不安感を処理するのには、認知行動療法が役に立ちます。それでは、どのようにして、認知行動療法をすればいいのでしょうか ?
まず、認知行動療法で最初のステップである、『自分にとっての問題は何か ? 』、ということを考えます。この場合には、『今まで、夜よく眠れないので、今夜もまた、眠れないのではないかと、心配になる』、ということが、自分の問題であることを確認します。
そして次には、『その心配ごとが、実際に起こるのか、起こらないのかを考えます』。その結果、前の晩に、眠れないのではないかと心配した夜でも、少しは眠れている夜もある、という事実を見つけます。そうすれば、『自分が眠れないと思っていたことが、必ずしも、正しくなくて、そう思っていた夜でも、眠れていることもある』、という自信が出てきます。つまり、自分の思い込みが、正しくないこともある、ということがわかるわけです。そうすれば、自分の考えを変えていこうという、前向きの気持ちがでてきて、『また、今夜も眠れないのではないか ? 、と心配することが必要ない、ただ単なる心配ごとである、ということを自分で納得します。
このように、少しずつ、自分の自信を積み重ねていくということは、とても、大切なことです。このように、自分の考えやしていることに自信をもっていくことを、『自己効力感を高める』、といいます。このことは、認知行動療法に限らず、病気を治していく上では、とても重要なことです。
それでは次回も、この問題について考えていきましょう。