前回の(その28)では、人事異動で新しい職場に異動になったあなたが、新しい仕事について、うまくやっていけるだろうか、と思い悩んでいるようすがありました。そして、新しい仕事について、できるだけ、ストレスが感じられないような考え方で対処していこう、と考えています。
認知行動療法では、この段階での、考え方がすごく重要なことになります。
そして、この時の考え方がうまくいけば、問題を解決していくのに、大いに役に立つというわけです。
今回のこのケースでは、新しい職場で起こるであろう場面を想定して、その場面場面での取り組み方を頭の中で想定して、具体的な対処法を作り上げました。さてそれでは、実際にそうなったと仮定した時の成り行きを考えてみましょう。
新しい職場で、今までになかった仕事の内容ですから、分からないことが出てきました。そして、あなたは、誰か知っていそうな人に質問して、訊いてみたいと思っています。
では、どのように行動すればいいのでしようか ? 認知行動療法は、認知と行動と、二つの要因からなっていますので、考えたことを行動しなくてはなりません。つまり、行動は思考の裏返しですので、考えたことが行動として表れるのです。
今回は、仕事のわからないところを、隣の人に聞くことを想定してみましょう。あなたは、どちらかというと、引っ込み思案で恥ずかしがり屋ですので、隣の人に声をかけるのにも、相当の努力がいります。そこで、次のような声掛けの方法が考えられますね。
『お忙しいところを申し訳ありません。私は今回の異動で隣に来た○○と言います。仕事のことでちょっとわからないことがありますので、お手すきの時にでも、教えていただけませんか ? 』、と丁寧な口調で聞いてみましょう。たぶん、隣の人も、頼りにされて悪い気はしないでしょう。しかしあくまでも、声を掛ける時には、相手の状況を良く見極めたうえで、声を掛けることが重要です。すごく忙しそうにしている時に声をかければ、とうぜん、親切には応対してもらえず、つっけんどんな態度で返答されてしまうでしょう。
それでは次回は、もう少し話しを進めてみましょう。