前回の(その16)では、『一つのことがおきた時に、なんでもかんでも、すべてにそのことを当てはめてしまう』、という思考パターンについてご紹介しました。前回の例では、一つのミスをしたことで、自分の全能力が低く見られて、自分は何においても、充分な能力がない人間だ、と判断してしまうことを考えました。
しかし、冷静に考えてみれば、そのようなミスをすることは、誰にでもあり得ることですし、たまたまその日はいつもより体調が悪くて、気分がすぐれなかったのかもしれません。または、自分があまり得意ではない分野の仕事だったので、慣れていないための、ケアレスミスであったかもしれません。
ので、認知行動療法的にこの問題を考える時には、まずは、冷静な気持ちで、あの時に何故、あんなミスをしたのかを考えるー分析することから始めます。その時に役に立つのが、『冷静になって、客観的な立場から、自分を見直す』、というスタンスです。
たとえば、誰か友人に、『君なら、そんなときにはどのように考える?』、というように訊いてみるのも参考になります。
または、自分で、その時のことを振り返ってみて、あの時に、何か別の他の考え方はなかっただろうか、と『自問自答』してみるのです。認知行動療法では、この『自問自答』をすることで、問題を解決していこう、という考え方で解答を見つけていくというやり方をします。
それでは、次回で、その具体的なやり方をご一緒に考えてみましょう。