前回の(その2)では、アメリカのホームズの研究をもとに、大きなストレスの後では、病気になる可能性があることをご説明いたしました。ということは、大きなストレスを経験した後は、何年かを慎重に過ごすことが必要である、ということになります。
私たちがよく耳にする言葉として、たとえば、大事な子供さんを亡くしたお母さんが、『悲しみに負けないで、はたから見ても、気丈に明るく過ごしているね』、というような話しを聞くことがあります。
しかし、これはストレスを解消するという観点からみた場合には、必ずしも、いい対応とはいえません。なぜなら、よほど精神的に強い人でなければ、子供を亡くしたということが、大きなストレスでないはずがありませんから、この人は、心のうちに悲しみとか後悔とかを、かたく、しまい込んでしまっているだろう、と想像されるわけです。
じつは、心理学的にみますと、このように、『おもてに出さないで、こころの内に深くしまい込んでいる悲しみや苦しみの感情』は、後になって大きな影響を及ぼす、ということは、これまでの研究で明らかにされているからです。
それではどうすればいいのでしょうか ? それは、悲しみとか苦しみの感情は、感じたその時その時に、外に吐き出してしまうのが、一番いい対応なのです。
つまり、この場合は、何日も大きな声で泣き続けるとか、悲しみを表に出して、夫に打ち明けるとか、とにかく、全部、外に吐き出すことが必要です。よほど精神的に強い人でない限りは、『何事もなかったかのように、冷静にしていること』は、絶対にお勧めできない対応の仕方なのです。
