それでは、もう少し詳しく私たちの『認知』ということについて考えてみましょう。
前回の(その6)で、奥さんが外出する前に、ご主人に、台所の後片付けを頼んだのに、帰ってきたら台所はそのまま、ほったらかしになっていた、というお話しをしました。この時の奥さんの『認知』は、心の中では、『いつもは頼んだことをしてくれていないのだけど、今回はしっかりと頼んだので、きっと、やってくれるだろう』、という期待感にあふれていたことでしょう。
つまり、奥さんの心の中では、『やってくれているだろう⇒やってくれているに違いない⇒やってくれているべきである』、というように、期待感がドンドンと強くなっていたのです。
ここまできますと、もう、やってくれていないことは想定も出来なくて、奥さんの頭の中は、きれいに片付けられている台所のイメージで一杯になっています。そこにきて、帰ってみたらそのままの台所が目に飛び込んできましたから、当然、カンカンになって腹が立ったわけです。
というところで、もしも、奥さんが初めから、『あのいい加減な主人だから、片付けが出来ていればもうけもの、出来ていなくて当たり前だわ!!』、という気持ちで帰宅したならば、それほどまでには腹が立たなかったのではないでしょうか?
認知行動療法では、このように、自分の感情が大きく揺れないように対応するには、どのように考えればいいのか、ということを練習し、トレーニングしていきます。