もう少し、『認知』という言葉について考えてみましょう。
日ごろ私たちは、前々からの『思い込み』で考えることがよくあります。例えば、街で知り合いの人と出会った時に、その人が自分に気付いているように見えたのだけど、挨拶の言葉もかけずに通り過ぎて行った、という場面を考えてみましょう。
この場合には、知り合いの相手が、自分を見ておきながら、知らない顔をして、無視して通り過ぎた、と考えますね。この時の、『自分だと気づきながら無視した』、というのがこの場合の、その人の『認知』ということになります。
つまり、『相手は、自分のことを見て分かっていながら無視した』、というのは、単に、自分の考えであって、『他のことを考えていて、そのことで頭がいっぱいで、自分のことに気付かなかった』のかもしれないし、『必要な眼鏡をかけ忘れていて、相手がよく見えなかったので、無視したのかな』、というような可能性については考えないような状況になります。
そこで、認知行動療法では、この『認知=自分の事に気付きながら無視した』、という考え方が、この場合には正しいのか、正当性があるかどうか、について検討するわけです。そして、もっと、他の理由で無視したという可能性があるかないかについて検討します。
そのようにして、自分の考え方の正しさを見直していきます。そうすることで、自分が受けるストレスを軽くすることができます。